大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

堺簡易裁判所 昭和33年(ハ)35号 判決 1958年5月19日

原告

右代表者法務大臣

唐沢俊樹

右指定代理人大阪法務局訟務部長

今井文雄

法務事務官 原矢八

大阪国税局大蔵事務官 矢野義彦

布施市高井田西二丁目八番地

被告

布野信

右当事者間の昭和三十三年(ハ)第三五号所有権移転登記抹消登記手続請求事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

被告は、別紙目録記載の建物につき、大阪法務局堺支局昭和二十六年十月二十三日受付第二六三二号

所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告代理人は主文と同旨の判決を求め、その請求の原因として次の通り述べた。

即ち

一、訴外葛城薬品工業株式会社は昭和三十二年十一月三十日現在において別紙滞納税金一覧表記載のとおり法人税、源泉所得税及びこれに対する加算税利子税合計金一、一五二、二八三円の国税を滞納しているものである。

二、同訴外会社は昭和二十六年十月二十三日、当時の滞納国税合計金五八六、五六四円の滞納処分を免れる目的で被告と通謀し、同会社所有の別紙目録記載の物件を売買その他何ら実体上の所有権の移転がないのに拘らず同会社より被告に売渡したもののように装い、大阪法務局堺支局昭和二十六年十月二十三日受付第二六三二号をもつて、同日の売買を原因とする所有権移転登記手続を経由した。

三、よつて原告は、右訴外会社は他に財産を有しないから同会社に代位し、被告に対し、前記実体と符合しない所有権移転登記の抹消登記手続を求めるため本訴に及ぶ次第である。

理由

被告は適式の呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、且つ答弁書その他準備書面を提出せず、原告主張の事実を明らかに争わないから民事訴訟法第百四十条によりこれを自白したものと看做され、右事実によれば原告の本訴請求は理由があるのでこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用の上、主文のとおり判決する。

(裁判官 上田次郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例